【G検定合格への道:第4回】機械学習の代表的な手法を完全理解!

AI技術の進歩とともに、社会のあらゆる分野で活用が進むディープラーニング。その基礎知識を体系的に習得し、適切な活用方針を決定できる人材を育成するために、一般社団法人日本ディープラーニング協会が実施するG検定は、近年注目を集めています。

本記事では、G検定合格を目指す皆様のために、機械学習の代表的な手法について解説します。

1. 機械学習の種類

 

機械学習は、大きく3種類に分類されます。

1.1 教師あり学習

教師あり学習は、入力データとそれに対応する正解データを与え、その関係性を学習する手法です。教師データに基づいて学習することで、新しい入力データに対して、対応する正解を予測することができます。

 

教師あり学習の具体的な例としては、以下のようなものがあります。

  • 画像分類: 画像データと、その画像が何のカテゴリに属するかを示すラベルデータを与え、画像を分類するモデルを学習する。
  • スパムメール判別: メールデータと、そのメールがスパムかどうかを示すラベルデータを与え、スパムメールを判別するモデルを学習する。
  • 音声認識: 音声データと、その音声データが何を意味するのかを示す文字データを与え、音声認識モデルを学習する。

 

1.2 教師なし学習

教師なし学習は、正解データを与えずに入力データのみを与え、データ間の構造やパターンを学習する手法です。教師データがない場合や、教師データの収集が困難な場合に有効です。教師なし学習で学習されたモデルは、データの異常検知や、データのクラスタリングなどに活用することができます。

 

教師なし学習の具体的な例としては、以下のようなものがあります。

  • 顧客分析: 顧客の購買履歴データに基づいて、顧客をいくつかのグループに分類し、それぞれのグループの特徴を分析する。
  • 異常検知: クレジットカードの利用履歴データに基づいて、不正利用と思われる取引を検知する。
  • レコメンデーションシステム: 過去のユーザーの行動データに基づいて、新たな商品を推薦する。

 

1.3 強化学習

強化学習は、エージェントと呼ばれる主体が環境と相互作用し、報酬を最大化することを学習する手法です。教師データや正解データを用いることなく、エージェント自身が試行錯誤を繰り返すことで、最適な行動を学習することができます。強化学習は、ゲームやロボット制御、自動運転など、様々な分野で活用されています。

 

強化学習の具体的な例としては、以下のようなものがあります。

  • ゲーム: ゲームのエージェントが、ゲームのルールに基づいて行動し、勝利を目指すように学習する。
  • ロボット制御: ロボットが、周囲の環境を認識し、与えられたタスクを効率的に遂行できるように学習する。
  • 自動運転: 自動運転車が、道路状況を認識し、安全に走行できるように学習する。

 

2. 教師あり学習

 

教師あり学習の中でも、G検定で特に重要となる手法をいくつかご紹介します。

2.1 線形回帰

線形回帰は、入力と出力の関係性を直線で近似する最も基本的な教師あり学習手法の一つです。入力データに対して、最もよくフィットする直線を見つけ出すことで、出力値を予測します。

 

線形回帰は、住宅価格予測や株価予測など、様々な回帰分析タスクに利用されています。

 

2.2 ロジスティック回帰

ロジスティック回帰は、二値分類に特化した教師あり学習手法です。入力データに対して、0と1のいずれかのカテゴリに属する確率を予測します。名前に回帰とついていますが、(連続値の予測に用いる)回帰問題ではなく、(離散値の予測に用いる)分類問題に用いる手法である事に注意する必要があります。ロジスティック回帰は、画像分類やスパムメール判別など、様々な二値分類タスクに利用されています。

 

2.3 ランダムフォレスト

ランダムフォレストは、複数の決定木を組み合わせて、より高精度な予測を行うアンサンブル学習手法です。個々の決定木は、ランダムに選択された部分集合のみを用いて学習されます。複数の決定木の予測結果を多数決で統合することで、過学習を防ぎ、汎化性能を向上させることができます。

ランダムフォレストは、画像分類や異常検知など、様々な分類タスクに利用されています。

 

2.4 ブースティング

ブースティング(boosting)もバギングと同様に、複数のモデルを学習させるアプローチをとります。バギングでは、複数のモデルを並列に作成しましたが、ブースティングでは直列に作成、すなわち逐次的にモデルを作成するという点がバギングと異なります。逐次的に学習を進めていく分、バギング手法よりも学習に時間がかかってしまうのが通常です。その一方で、誤認識を減らすように学習が進められるので、得られる予測精度は高くなる傾向にあります。

 

ブースティングには、AdaBoost、Gradient Boosting Decision Treeなど、様々なアルゴリズムがあります。ブースティングは、画像分類や自然言語処理など、様々な分類・回帰タスクに利用されています。

 

2.5 サポートベクターマシン

サポートベクターマシン(SVM)は、データの境界線を最大化する超平面を見つけることで、分類を行う手法です。超平面とは、n次元の空間において、(n - 1)次元の平面を指します。SVMは、データの境界線を最大化することで、高い汎化性能を持つ分類器を構築することができます。

SVMは、画像分類やテキスト分類など、様々な分類タスクに利用されています。

 

2.6 自己回帰モデル

自己回帰モデルは、時系列データを分析し、未来の値を予測する手法です。過去のデータと現在のデータの関係性をモデル化することで、未来の値を予測することができます。時系列データ分析のことを単純に時系列分析とも言います。自己回帰モデルには、ARモデル、MAモデル、ARMAモデルなど、様々な種類があります。

自己回帰モデルで過去のデータとの関係性を定式化したものが以下の式です。

xt = c + w1x1 + w2x2 + ... + wn + ε
ここで、

  • xt: 出力値
  • c: 定数
  • x1, x2, ..., xn: 入力データ(過去のデータ
  • w1, w2, ..., wn: 重み
  • ε: ノイズ

となります。

上式における入力データは1種類でも複数種類でも問題ありません。複数種類の場合のxnはベクトルになります。この時の自己回帰モデルをベクトル自己回帰モデルVARモデル)と呼びます。自己回帰モデルは、株価予測や需要予測など、様々な時系列予測タスクに利用されています。

 

3. 教師なし学習

 

教師なし学習の中でも、G検定で特に重要となる手法をいくつかご紹介します。

3.1 階層なしクラスタリング(k-means法)

k-means法は、データをk個のグループに分類するクラスタリング手法です。まず、k個のクラスタの中心点をランダムに初期化します。その後、各データ点を、最も近いクラスタの中心点に割り当てます。最後に、各クラスタの中心点を、割り当てられたデータ点の平均値に更新します。この処理を繰り返し行うことで、k個のクラスタを形成することができます。

k-means法は、顧客分析や画像分析など、様々なクラスタリングタスクに利用されています。

 

3.2 階層ありクラスタリング

階層ありクラスタリングは、データを階層的な構造を持つグループに分類するクラスタリング手法です。まず、すべてのデータを一つのクラスタとして考えます。その後、ある基準に基づいて、最も類似性の高い二つのクラスタを分割します。この処理を繰り返し行うことで、データを階層的な構造を持つグループに分類することができます。

階層ありクラスタリングは、生物分類や情報検索など、様々なタスクに利用されています。

 

3.3 主成分分析

主成分分析(PCA)は、データを圧縮し、主要な特徴を抽出する手法です。データを多次元空間で表現する場合、次元数が増加すると、データの処理や分析が困難になります。PCAは、データの分散を最大限に保ちながら、次元数を削減することができます。

PCAは、画像圧縮や次元削減など、様々なタスクに利用されています。

 

主成分分析は、共分散行列の固有値と固有ベクトルを用いて、主要な特徴を抽出します。共分散行列は、データの分散と共分散を表す行列です。固有値は、共分散行列を対角化するときに得られる値であり、固有ベクトルは、共分散行列を対角化するときに得られるベクトルです。

 

3.4 協調フィルタリング

協調フィルタリングは、過去のユーザーの行動データに基づいて、新たな商品を推薦するレコメンデーションに用いられる手法です。ユーザー同士の類似性やアイテム同士の類似性に基づいて、ユーザーに合った商品を推薦します。

協調フィルタリングには、ユーザーベース協調フィルタリングとアイテムベース協調フィルタリングの2種類があります。

 

 

3.5 トピックモデル

トピックモデルは、文書データから潜在的なトピックを抽出する手法です。文書中の単語の出現確率に基づいて、各文書がどのトピックに属するかを推定します。

 

代表的なトピックモデルとしては、潜在的ディリクレ配分法(LDA)があります。LDAは、文書を複数のトピックの組み合わせとして表現するモデルです。各文書は、複数のトピックに属する確率で構成されます。

 

4. 強化学習

 

強化学習の中でも、G検定で特に重要となる概念をいくつかご紹介します。

4.1 理論の概要

強化学習は、エージェントと呼ばれる主体が環境と相互作用し、報酬を最大化することを学習する手法です。教師データや正解データを用いることなく、エージェント自身が試行錯誤を繰り返すことで、最適な行動を学習することができます。

強化学習は、ゲームやロボット制御など、様々な分野で活用されています。

 

4.2 バンディットアルゴリズム

不確実な環境下で最適な行動を選択するためのアルゴリズムです。

4.2.1 バンディットアルゴリズムとは

バンディットアルゴリズムは、強化学習における最も基本的なアルゴリズムの一つです。バンディットアルゴリズムは、スロットマシンなどの確率的な報酬を得られる環境で、最適な行動を選択することを学習します。

バンディットアルゴリズムは、ε-greedyアルゴリズムやUCBアルゴリズムなど、様々な種類があります。

4.2.2 ε-greedyアルゴリズム

ε-greedyアルゴリズムは、確率εでランダムな行動を選択し、確率1-εで過去に最も報酬の多かった行動を選択するアルゴリズムです。

ε-greedyアルゴリズムは、探索と活用のバランスを調整することができます。εの値を大きくすると、探索が多くなり、未知の行動を試す確率が高くなります。逆に、εの値を小さくすると、活用が多くなり、既知の行動を実行する確率が高くなります。

4.2.3 UCBアルゴリズム

UCBアルゴリズムは、不確実な状況で限られた情報に基づいて最適な行動を選択したい時に最適なアルゴリズムです。UCBアルゴリズムは、ε-greedyアルゴリズムよりも、探索と活用のバランスをより良く調整することができます。

 

4.3 マルコフ決定過程モデル

マルコフ決定過程モデルは、強化学習における環境の状態遷移と報酬を確率的に表したモデルです。

 

4.4 価値関数

価値関数は、各状態における将来的な累積報酬の期待値を表した関数です。

 

4.5 方策勾配

方策勾配は、強化学習におけるアルゴリズムの一つです。方策勾配は、現在の行動の方策を勾配法と呼ばれる手法を用いて改善していくアルゴリズムです。

 

まとめ

 

G検定では、上記で紹介した機械学習の代表的な手法について理解することが求められます。それぞれの方式の特徴や用途を理解し、実際にどのように活用されているのかを事例を交えながら学習することが重要です。

 

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