こんにちは!インドに強い興味を持っているきーちゃんです。
インドの呼称が「バーラト」に?
9月9日から開催された主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で、議長国を務めたインド。
このインドが国際的な呼称を「バーラト」に変えるのではないかという臆測が広がっています。これはG20サミットに先立ち、インド2人目の女性大統領であるドラウパディ・ムルム大統領が各国首脳に送った晩餐(ばんさん)会の招待状に端を発するものです。
晩餐会の招待状の中で、自身を「インド大統領」ではなく「バーラト大統領」と呼んだ事で物議を醸したんですね。また、G20サミット議長国インドの国名表記も「バーラト」と表記されていました。
写真の出典:https://www.afpbb.com/
これによってナレンドラ・モディ首相が本気で国際的な呼称を変えようとしているのでは、との臆測が広まっているわけです。インドの国家元首は大統領ですが、実権はなく、内閣の助言に従い国務を行っています。実態としては、内閣の首相であるモディ首相が実権を握っています。
インド憲法の第一条に「インド、すなわちバーラトは、諸州の連邦である」(英語の「India」とサンスクリット語の「Bharat」が同義語)と記されているため、インドもバーラトも、国名として公の場で使うことができる法的根拠もあります。
ヒンドゥー至上主義と民主主義国家
モディ首相率いるインド人民党(RJP)及びその支持基盤であるヒンズー至上主義団体「民族義勇団(RSS)」は、英国統治下の建物の名称や地名を現地語に変えてきました。インドという呼称は「英国に押しつけられた植民地時代の名残である」という主張であり、バーラトへの名称統一を求めています。2018年にも同様の思想で、インド北部の都市の名称を実際に変更したこともあります。
モディ政権が「バーラト」という呼称の浸透を図る背景には、来年の総選挙に向けて、野党に対抗する狙いが垣間見えます。インド人民党(BJP)が打ち出している選挙のスローガンが「一つのバーラト、偉大なバーラト」であり、グローバルサウスの盟主として世界の中央舞台に復帰しようとする野心が見えます。インドはヒンドゥー教徒が人口の多くを占める国家ですので、ヒンドゥー至上主義で愛国的な方針を示す事で多くの国民の支持を得やすいという背景もあります。
インドの二大叙事詩
インドには古代から伝わる有名な二大叙事詩「ラーマーヤナ」と「マハーバーラタ」があります。
ラーマーヤナ
『ラーマーヤナ』(サンスクリット語: रामायणम्, ラテン文字転写: Rāmāyaṇam, 英語: Ramayana)は、古代インドの大長編叙事詩。ヒンドゥー教の聖典の一つであり、『マハーバーラタ』と並ぶインド2大叙事詩の一つである。サンスクリットで書かれ、全7巻、総行数は聖書にも並ぶ48,000行に及ぶ。成立は紀元3世紀頃で、詩人ヴァールミーキが、ヒンドゥー教の神話と古代英雄コーサラ国のラーマ王子の伝説を編纂したものとされる。(出典:Wikipedia)
マハーバーラタ
『マハーバーラタ』(サンスクリット語: महाभारतम् Mahābhāratam) バラタ族にまつわる大叙事詩。バラタ族とは物語の中心となるクル族の別称である。『ラーマーヤナ』とともにインドの二大叙事詩と称され、ギリシャの叙事詩『イーリアス』と『オデュッセイア』としばしば比較される。第6巻にヒンドゥー教の聖典である『バガヴァッド・ギーター』を含む。インドの古典語であるサンスクリットで著され、その94%がシュローカ(8音節×4韻脚)と呼ばれる韻律によって構成されている。(出典:Wikipedia)
この二大叙事詩は、ジブリアニメとして有名な「天空の城ラピュタ」の原作として知られています。この叙事詩の内容を知った上でラピュタを改めて観てみると内容に深みを感じて、とても面白いです。
そもそもバーラトとは
このうちの一つである叙事詩「マハーバーラタ」の中で語られる「世界(インド亜大陸)」全体を支配した皇帝であり、バラタ族の祖とされるインド古代の伝説的な王「バラタ王」の国を意味するのが「バーラト」です。
インドの国名が,「バラタ王の国」を意味する「バーラト」 Bhāratであるように,バラタ王は古代インドで英雄的に活躍したバラタ族の祖先であり,『マハーバーラタ』の主題は,彼の後裔であるドリタラーシュトラとパーンドゥの両家の軋轢,特にクル・クシェートラ (クル平原) における 18日間の戦闘である。悪役ドゥルヨーダナに対して,1人の妻ドラウパディーを共有するパーンドゥの5人兄弟,なかでも俊英アルジュナと怪力ビーマの行動は古来大衆的な人気を呼んだ。(出典:ブリタニカ国際大百科事典)
最後に
人口も中国を抜いて14億人を超え人口世界一となり、国民の平均年齢も非常に若い国。また世界最大の議会制民主主義国であるインド。言語では、準公用語として英語を使いこなす上に、アメリカ合衆国とほぼ12時間の時差があるため英語圏ビジネスを時差で補完するという地理的優位性も持ちます。人口減少によって経済規模の縮小が進んでいる日本において、今後インドとの関わりは重要性を増していくものになりそうです。